その共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合において、


新聞報道で「客観的な準備行為を要件に加える」と説明された修正です。
これは一見大きな修正のように思われますが、じつはまやかしがあります。

「客観的な準備行為」といえば、犯罪を実行するための準備を
整えていることが証明できる証拠であるかのような印象を受けます。

修正案中「共謀に係る犯罪の実行に資する行為」とされているのは、
一般にオバートアクト(顕示行為)といわれるものですが、
これは犯罪の実行のための準備が整っている段階ではありません。
また、犯罪実行の準備を始めたことを証明するものでもありません。

オバートアクトとは、「犯行の意思が実際にあるという推測を助ける目に見える行為事実」のことで、
説得力の強くない断片的な状況証拠です。

しかも、修正案にあるように、「その共謀をした者のいずれかにより」行われれば十分で、
他の人はその行為が行われたことを知らなくてもかまわないというものです。

昨年10月14日の法務委員会で、自民党の柴山議員が
「オーバートアクトでは、だれか一人がなんらかの行為をすればよいので、
要件に入れたとしても(捜査の上で)不都合ないのではないか」と質問したのに対し、
大林刑事局長も「実務上の差異は、結果としてはそれほど大きくない」と答えています。
つまり、歯止めとしての意味はほとんどないということを政府自身が認めていると言えるのです。