(その共同の目的がこれらの罪又は別表第一に掲げる罪を実行することにある団体である場合に限る。)
政府答弁によれば、2人以上の人が集まり、役割分担がはっきりしていれば、「団体」となります。
また、正当な活動をする「団体」の一部であっても、犯罪を「共同の目的」とした時点で、
その一部の集団が「共謀罪」の適用対象となる「団体」になってしまうということも
審議の中であきらかになっています。
さて、与党修正案で加えられた条件のなかにある、「これらの罪」とは
刑の上限が4年以上の犯罪を指します(現在619。さらに増える可能性あり)。
そこにあるのは、殺人や強盗などの重大犯罪だけではありません。
万引きなどの微罪や、商法や税法、道路交通法といった、身近な法律の違反も含まれます。
選挙にかかわる罪としては、「当選を得させない目的の虚偽事項の公表」という犯罪があります。
たとえばある候補者の落選運動をしようとグループを作り、それぞれの役割分担を決め、
その候補者のスキャンダル等を集めて公表しようとしたとします。
これは組織的犯罪集団という言葉が持つイメージとはかなり違いますが、
ここにいう団体に当てはまると判断される可能性があります。
そして、ある団体に疑いがあると判断すれば、
警察は「共同の目的が『これらの罪又は別表第一に掲げる罪』であるような組織かどうかを
確かめる捜査」を開始することができます。
証拠隠滅をはかるおそれがあると判断されれば逮捕されることもありえます。
結果的に無罪となったとしても、捜査されたり逮捕されたりした団体や個人の社会的信用はどうなるでしょう。